令和3年度 島しょ地区訪問(八丈地区)

三根小学校大賀郷小学校三原小学校青ヶ島小学校

今年度は、9月9日(木)から10日(金)にかけて八丈島を訪問する予定であったが、緊急事態宣言下のため実地訪問は中止となった。そこで、昨年度に引き続き、9月10日(金)にオンラインにより八丈島、青ヶ島の各校の現状や課題、要望等について協議を行った。
今回の訪問の計画にあたり、八丈町教育委員会教育長の佐藤誠様を始めとする教育委員会の皆様、各校長先生方にお世話になった。また、教育長職務代理者の茂手木清先生、文化財専門委員長の林薫先生には、八丈町の文化財、歴史、方言等についての御指導の準備をしていただいていた。実現できず大変残念であったが、この場をお借りして皆様に御礼申し上げたい。
◇ オンライン会議概要
1 八丈町教育委員会 佐藤 誠 教育長様の話
この2年間、コロナ禍において異動されてきた先生方は、島外への移動の自粛や、教職員同士の懇親の場をもてないようなことが続き、ストレスを抱え大きなダメージを受けている。そんな先生方を抱える校長先生方は、本当によく頑張って献身的に尽くしてくださっている。コロナ禍の影響からか、学校生活が楽しくないという子供がいるとの報道もある。子供たちをよく見ていきたい。(公務で御欠席のため事前に伺った話を掲載)

2 八丈町3校概要について
○八丈町立三根小学校 大場一輝校長 【概要及び特色】
・三根地区は、島内で最も大きな地区であり、7月1日現在の人口3466名、島全体(7151名)の48%を占める。
・本校は、1875年6月1日、浅沼氏の養蚕室を教室にしたことに端を発し、あと4年で創立150周年を迎える。
・平成30・31年度東京都プログラミング教育推進校、島しょ地区の先駆けとなる「島しょデジタルプロジェクト」を先行実施。現在、島しょ地区唯一の東京都人権尊重教育推進校として取り組んでいる。

○八丈町立大賀郷小学校 川畑伊豆海校長
【概要及び特色】
・明治10年開校(開校145年目)東京都心から南へ287km、大賀郷地区は2309人(島内で2番目)。
・主要産業は農業(花き観葉植物栽培)、漁業、商工(焼酎造り、くさや加工、伝統工芸品の本場黄八丈織、各種観光関連サービス業)大賀郷地区は、公務員・建設業・商業の家庭が多い。

○八丈町立三原小学校 記野邦彦校長
【概要及び特色】
・八丈島の南に位置し、海抜137mにある。気象条件が合うと本校の2階から青ヶ島を眺めることができる。
・本校は、平成19年度、25年度の統合により、樫立、中之郷、末吉の3地区が学区域となる。末吉地区はスクールバスを利用。

○青ヶ島村立青ヶ島小中学校長 木下和紀校長
【概要及び特色】
・東京から南に約360?(八丈島から約70?)、周囲9?、世界でも珍しい二重式カルデラ火山。
・明治7年(1874年)開校、創立147年。
・島に高等学校がなく中学校卒業後に必ず島を出る。卒業時までに、生活面や精神面での自立を目指す。
・中学校教員が、小学校音楽、図工、体育、家庭科、英語、技術科(高学年のプログラミング教育)を担当。

令和2年度 島しょ地区訪問

コロナ感染症予防対応のため開催なし

令和元年度 島しょ地区訪問 〜大島地区を訪ねて〜

大島1大島4大島5大島2大島3大島6大島7大島8

野村副会長以下役員8名は,9月12日(木)〜13日(金)の日程で大島を訪問した。9日(月)に台風15号が大島町を直撃し,甚大な被害があり,訪問が懸念されたが,無事に2日間の訪問を行うことができた。訪問に際しては,大島町教育委員会,大島町公立小学校長会の皆様に大変お世話になったことを心より感謝申し上げたい。
1 大島町教育委員会訪問及び大島町立小学校長会との教育懇談
○ 谷口 淨 教育長の話
 ・島の面積は91.76平方キロメートル,外周は約52キロメートル(都道一周道路約45キロメートル)であり,人口ピーク時の約16,000人に比べ,現在は約7,500人(約4,500世帯)に減少している。6年前の大規模土砂災害の復旧から復興に向けてメモリアル公園整備事業も進めている。
 ・小学校については,15年前に7校を南部,中部,北部に1校ずつ3校へ統廃合を行い,現在に至っている。児童数は323名で人口減少に伴い,児童数の減少も進んでいる。
 ・全国及び都の学力調査の結果を受けて,平成27年度より大島町教育委員会として「学力向上推進委員会」を設置し,着実な学力向上を図ってきた。
 ・特別支援教育について,知的固定学級は,つばき小学校と第一中学校に設置をしている。また,特別支援教室については,町内3校の小学校が拠点校という体制で,巡回指導は行っていない。
 ・社会教育面では,新たな町立図書館を複合施設として建築している。蔵書を7万冊までに増やし,学校図書館との整備計画も進めている。
 ・防災教育については,大島での様々な経験を学校教育に生かしていきたい。「自分の命は自分で守る」ことを最優先に,児童・生徒に自分の命をどのように守るのかをしっかり身に付けさせたい。
○ 大島町立つばき小学校 吉澤 淳 校長の話
 ・大島町の特徴として,2つの行政,大島町教育委員会と教育庁大島出張所があり,非常に近い存在として大島町の教育を支えている。
 ・異動に関する課題がある。また,出張等に関する移動手段についての課題があり,内地からの帰島後の勤務が大変厳しい現状がある。
○ 大島町立さくら小学校 高木 伊織 校長の話
 ・学区の地域としては,東の出帆港にあたる岡田港を中心とした地区である。現在の児童数は121名で,第二中学校と隣接地に建っており,小中連携を密にして9年間の教育活動を通して児童・生徒を育んでいる。
 ・校内研究では学力向上に取り組んでいる。今年度は,生活科,総合的な学習の時間の研究を進め,内地からの講師も招いて,教科の特性を改めて見直し,教員自ら進んで研究を行っている。
○ 大島町立つつじ小学校 田代 紳一郎 校長の話
 ・本校の児童数は61名であり年々減少傾向にある。
 ・学校施設はオープンスクールの形態をとっており,タブレットパソコンは児童2名につき1台の割合で配置されている。
 ・「プログラミング教育推進校」に指定されている。大島管内では1校であり,10月31日に研究発表会を行う予定である。
2 大島町立つばき小学校訪問
 〇 吉澤 淳 校長の話
 ・本校では,141名の児童のうち10名以上が内地から保護者の仕事の関係で在籍しており,年度末には児童の転校の見送りを毎日のように行う。昨年度から,「オリンピック・パラリンピックアワード校」,「持続可能な社会づくりに向けた教育推進校」の指定を受け,都の予算を有効に活用している。
 〇 施設見学・質疑応答など
 ・大島へ赴任して,1〜2年で不適応になる教員がいるが,3年以上勤務しないと異動対象にはならないので,異動が認められないことが多い。
 ・教育環境については,ESD,SDGsの教育実践を行っている。海浜教室,山のガイドによる校内でのジオパークの学習を行ってから三原山登山をするなど,外部機関にも恵まれている。

平成30年度 島しょ地区訪問 〜三宅地区を訪ねて〜

三宅地区?三宅地区?三宅地区?


種村会長以下役員6名は,9月13日(木)〜14日(金)の日程で,三宅島を訪問した。前週には台風21号,そして22号の発生と天候が心配されたが,無事に三宅島の訪問を行うことができた。また,訪問に際しては,御蔵島小学校長にも来島していただき,話し合いを深めることができた。
1 三宅村立三宅小学校訪問
○ 竪山浩人校長の話
 ・島の噴火により,平成12年の9月から4年5か月にわたり全島避難となっていた。帰島後は人口が3分の2に減少し,現在は島民約2500人である。
 ・平成17年4月より,3校(三宅小,阿古小,坪田小)合同体制の「三宅村立三宅小学校」として学校を再開し,平成19年3月に,三宅小,阿古小,坪田小が廃校となり,4月から「三宅村立三宅小学校」が新設さ  れた。
 ・今年度の児童数は78名である。各学年1学級で,情緒ときこえと言葉の通級指導学級を併設している。来年度は知的固定学級と情緒固定学級を新設する予定である。
 ・学力向上は大きな課題となっているが,現在はタブレットパソコンを全員に配布しており,プログラミング教育にも力を入れている。
 ・三宅島は小学校,中学校,都立高等学校がそれぞれ1校ずつある。そのため,保育園時代から高等学校までを考えると,長い期間同じ仲間と過ごすことになる。
 ・三宅島は島周約30kmであるが,全島が校区であるため,島の右回りと左回りでスクールバスを登校時,下校時(学年の下校時間などに合わせて)複数回走らせている。
 ・教員は公募制度を活用してきた教員がほとんどである。
 ・若手の教員も多いため,授業力向上のための研修が重要であるが,都内への出張は数日を要してしまうのが悩みである。
○ 御蔵島村立御蔵小学校 松田隆校長の話
 ・御蔵島は三宅島の南18kmに位置し,人口は300人ほどで,徒歩10分圏内の範囲にまとまって暮らしている。
 ・明治7年に寺子屋式校舎が完成したことから数えると140年を超える歴史ある学校である。御蔵島小学校は,御蔵島中学校と合わせて御蔵島小中学校として運営している。小学校児童が22名,中学校生徒は各学年1  名ずつの3名である。小規模ではあるが,小中併設校であることを生かし,9年間を見通した教育活動を進めている。
 ・平成30・31年度は東京都教育委員会の人権尊重教育推進校である。
 ・高等学校進学などにあたっては,ほとんどの生徒が島を離れるため,自尊感情を基盤とする学習意欲や勤労意欲の向上,他者とかかわるコミュニケーション能力の育成に力を入れている。
 ・兼務発令をしているため,中学校教員も積極的に小学校授業にかかわっており,きめ細やかな指導ができている。
 ・教員の状況,教員研修に出張させる際の悩みは,三宅島と同様である。
 ・これまで在籍児童・生徒のいない学年があったが,イルカウォッチングなどの観光が盛んになり,移住者を含めて児童数も増加傾向にある。
3 三宅村教育委員会訪問
 教育委員会懇談に先立ち,三宅村の櫻田昭正村長ともあいさつ,懇談を行った。
○ 教育委員長職務代理者 加藤和則教育委員の話
 ・三宅島は三宅村立学校が小学校・中学校とも1校体制になり,これまでさまざまな全島避難から帰島後の課題を解決し,新しい体制の中で教育を展開している。三宅村教育委員会は,子供たちが知性や感性を高   め,道徳的心情や体力の向上を図り,人間性豊かに成長することを願い,「互いの人格を尊重し,困難な中にあっても助け合う思いやりと規範意識のある人間」「広い視野をもち,積極的に社会に貢献しようとす  る人間」「自らの個性と創造力を新調し,三宅島の文化を発展させる意欲をもつ人間」の育成に向けた教育を重視している。
 ・学力向上は大きな課題であると認識している。現在小学校ではタブレットパソコンを全児童に配布して,プログラミング教育を含めて活用を図っている。また,教室には電子黒板を配備しデジタル教科書も活用し  た授業を展開している。ICT機器の有効利用を図り,特に児童・生徒の基礎的な学力を向上させたいと考えている。