最新更新日:2015/08/31 | |
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夏のしおり 巻頭言
諸君。学べ! 校 長 寺 岡 錠 平
あれは、私が中学3年生の夏休みだった。(もう、40年も前の話だ) 3〜4人の友だちと、暑い暑い学校の自教室で、数学の問題を毎日解いていた。 外は、老朽化した校門の付け替え工事で、ユンボーやダンプが頻繁に出入りし、騒音が響き渡る、雑然とした中での約一ヶ月だった。 では、なぜそのような厳しい状況に追い込まれてしまったのか? 一学期の期末テストの成績表をこっそりと見ていた私(人には絶対見られたくない!)の背後から、突然、友の声。『なんじゃこりゃ。なっさけ無い点やなぁ』…と。 私は言い返す。『お前が、点取れるように、してくれるんか?』 すると、あっさり『ああ、ええよ。夏休み、何人かで勉強会しよっ!』という返事。すぐに担任の先生と、教室使用の交渉成立。こんな冗談のようなやり取りで始まった、自主勉強会だった。 考えてみれば、生まれて初めて、自らの手で取りに行った、勉強だったなぁ。 衣川中学校の諸君。前途洋洋たる未来が拓けたみんなに言いたいのは、是非『学びの技』を磨いてほしいということだ。『学ぶ』ということは、いつでも、何からでも、その気になればできることなのだ。自分が体験した事、人がやっている事、本や映画の中の登場人物の言葉…、あらゆる事の中に、様々に学び取るものが存在する。ただし、自分の感性をフル稼働させ、研ぎ澄まし、はっと気づく力を高めていった者が『学びの技』を体得出来る。 夏休みは、決められた学校生活から離れる、いわゆる非日常の中から、たくさんの心の栄養を吸収する期間だ。 さて私の成績は、そんな中3の夏休みを経たからといって、さほど上昇したという記憶も記録もない。しかし、一生の指針となることをしっかりと学んだ。 その時私は、数学の勉強を学んだだけではない。むしろ、自分の時間を割いてまで、友だちの勉強の手助けをするという、その友の心意気を学んだのだ。逆の立場なら、決して自分には出来ないことを、いとも簡単にやり遂げてしまった、その友の行動に感激をしたのだ。そして、その気持ちに真正面から対等に応えるには、不完全ながらも、最後までみんなと一緒に、暑い中の勉強会を続けていくことしかないのだと感じた。 8月に、中学校を卒業してから40年目の同窓会がある。その時、勉強会を持ってくれた友は、東京から帰ってくるという。私の、この夏の楽しみの一つだ。 どうかみんなにとっても、印象に残る、夏休みにならんことを。 自分も、人も、大切にし、『学び』と『感激』のある44日間であることを! |
明石市立衣川中学校
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