【学校長コラム】 卒業式

画像1
今朝、校門近くの桜が開花していることに気づいた。多くの日本人が抱くイメージでは、桜の花といえば入学式ということになるのかもしれないが、近年の満開宣言は1年生の入学を待ってくれない。温暖化の影響なのか、入学式にはすっかり葉桜となっていることもしばしばである。今日は卒業式。開花に気づいてか、しばし足を止めて桜の木を見上げている6年生の姿があった。この先は、桜の花といえば卒業式というイメージに変化していくのかもしれない。

6年生や保護者はもとより、教師にとっても卒業式は極めて特別な学校行事だ。入学してからの6年を経てよくぞこれだけ立派に成長してくれたと、卒業生担任のみならず、教職員全員が喜びと安堵の気持ちに包まれる。本日も、改めてそんな思いに満ちあふれてくる素晴らしい6年生の姿を見せてもらうことができた。マスクをばすして堂々と入場する姿、感謝の言葉とともに証書を受け取る姿、心をこめて呼びかける姿。式が進み、合唱「変わらないもの」を歌う頃には、その姿も涙でかすんでしまった。

※学校長式辞(抜粋)
皆さんが生きていくこれからの社会は、今から予測することが極めて困難なほど、めまぐるしく変化していく社会になると言われています。既に、人工知能・AIの技術も著しく進歩してきましたね。例えば、画面上に質問を打ち込むだけで、まるで人間が書いたような自然な文章を即座に回答してくれる対話型AIも登場しています。今後、AIはさらに身近な存在となり人々の働き方が大きく変わることは確かです。今日は、そんな社会を生きていく皆さんに心がけほしいことを二つだけお話します。

ひとつは、何事も自分の事として考える習慣を身につけてほしいということです。変化の激しい世の中に対応するためには、誰かがやってくれるだろうという受け身ではなく、自分で考え自分で判断することが極めて重要です。以前はそうだったかもしれないけれど、今、自分はこのような理由からこのように考えているんだと、自信をもって表現できるよう、ひとつひとつの課題を他人事にせず自分の頭でしっかりと考えてほしいと願っています。

もうひとつは、他の人と協働する心を持ち続けてほしいということです。協力の「協」と、労働の「働」という字で協働。この先、皆さんはいろいろな考えをもった人々と出会うことでしょう。その際、自分の考えを明確に表現しながらも、対話や議論を通して相手の考えを理解したり、自分の考えを広げ・深めたりしながら、互いに助け合って目的を達成しようとする思いをもってほしいのです。

AIは、存在する大量のデータをもとにする仕事や正解が決まっている仕事を得意とします。しかし、私たちが生きている社会は常に正解のない課題に溢れています。皆さん一人一人が自分事として課題に向き合い、協働して解決するための行動をとれば、きっと未来は輝かしいものとなることでしょう。未来を決めるのは人間です。AIではありません。卒業生の皆さんも、わずか6年後には成人を迎えています。4月からの中学校生活も含め、こうした思いを胸に、より一層成長してくれることを願うとともに、皆さんの活躍を応援し続けています。

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31