最新更新日:2017/03/31
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校長室だより…朝の会のお話「かしこく やさしく たくましく」9

         〜 卒業式をみんなで創りあげよう 〜

 あと2週間で卒業式がやってきます。いよいよという感じですね。卒業式が近づくと,私は忘れられない,ある卒業式を決まって思い出します。
 それは,私が6年生を担任していた時の卒業式です。その学校は6年4組まである,大きな小学校でした。私は6年3組の担任でした。卒業式が近づいてくる3月になると,体育館で1組から4組までの130人の6年生が全員そろって卒業式の練習をします。私の学級のとなりの6年4組にA君という男の子がいました。A君は,学校にいる時に人と話すことがたいへん苦手で,A君の声を聞いたことがある人はほとんどいませんでした。家庭では普通に話したり,はしゃいだり,歌ったりできるのですが,学校に来るとダメなのです。ある日,卒業証書をもらうために名前を呼ばれた際の「ハイ」という返事を練習しました。129人は返事ができるのですがA君は,何度練習しても返事の声が出ませんでした。
 6年生が130人もいると,大枝小のように卒業式の中で全員が何かを話すなんてことができません。ですから,私たち担任の4人の先生は,一人一人の心のこもった「ハイ」という返事をお父さんやお母さん,在校生に聞いてほしかったのです。
4組の若い男の先生もそのことを何度もA君に話して励ましましたが,練習の時も普段の学校生活でもA君の声を一度も聞くことはできませんでした。
 卒業式の日がやってきました。「A君の返事が聞こえないのは,仕方ないな。」とみんな考えていました。卒業式が始まり,卒業証書授与になりました。3組まで授与が終わり,そこまでのみんなは,立派な「ハイ」という返事ができました。いよいよ最後の4組の番です。A君は出席番号1番。32名いる4組の大事なトップバッターです。4組の若い男の先生が名前を呼びました。次の瞬間,A君は,目をつぶってとても大きな澄んだ声で「ハイ」と返事をしたのです。みんなが初めてA君の声を聞いた瞬間でした。4組の若い男の先生は,うれしくてうれしくて泣き始めてしまいました。しばらくは2番からの子ども達の名前を呼べない位でした。
 A君のことを知らない人は,何が起きたのか分からなかったようですが,私たち6年生の担任の先生と130名の6年生は感動の気持ちに包まれていました。卒業式では,何が感動的な出来事になるか分かりません。1年生から5年生と,そして6年生。みんなで力を合わせて最高の大枝小学校卒業式を創りあげていきましょう。   (2014.3.7)

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