最新更新日:2017/03/31
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校長室だより…朝の会のお話「かしこく やさしく たくましく」3

やさしさは広がっていく素敵な心       

 みんなは、ことわざって知っていますか。昔から言い伝えられてきた言葉で、私たちが生活する上でためになることを、そのことわざが言っているものが多いんです。例えば、『塵も積もれば山となる』ということわざがあります。「小さなほこりのようなものでもたくさん積み重なれば山のように大きなものになる」という意味ですが、これは「小さな行動でも長く続ければ、大きなことを成し遂げられる。続けることは大切です。」ということを私たちに教えてくれますね。
 ところで『情けは人のためならず』ということわざがあります。どんな意味だと思いますか。「情け」とは「人の情けを知って涙が出る。」のように「優しさ」とか「思いやり」のことです。そうすると、「優しくすることは人のためにならない。かえって、厳しくする方がその人が成長することになるのでよい。」という意味になるのでしょうか。
 この前の日曜日にこんなことがありました。私はホームセンターにボールペンの替え芯が欲しくて買い物に出かけました。ボールペンの替え芯を1本、手に取ると
レジに並びました。日曜日なのでレジにはカゴにたくさんの品物を入れた人たちが長い列を作っていました。みんな自分の前の人のカゴの中身のたくさんの品物を見て、いやそうな顔をしています。よほど忙しいのか、みんな少しでも早くレジでの会計を終わらせたいと思っているのですね。
 ずいぶん長い時間が経って、ようやく私の前に並んでいる人が一人のおばさんだけになりました。カゴには洗剤やらスポンジやらたくさんの品物がいっぱいに入っていました。私は、レジでの会計が終わるには、さらに多くの時間がかかるだろうなと覚悟しました。その時です。そのおばさんが、ちらっと私の手の1本だけのボールペンの替え芯を見て、こう言いました。
「お先にどうぞ」
私はびっくりしました。おばさんも長く待ってイライラしていたはずなのに、1つの品物の会計が終われば、すぐに帰れる私のために順番を譲ってくれたのです。私はお礼を言うとレジでの会計を済ませて、うれしいことに考えていたより早く店を出ることができました。
 私は、家に帰る車の中で考えました。「優しい人もいるものだな」と。また同時に思い出しました。実は去年、私は逆のことをしたことがあったのです。全く違うスーパーマーケットのレジで、私の後ろに並んでいたおじさんが、果物を1袋だけ持っていたので、この前の日曜日のおばさんのように順番を譲ったことがあったのです。それを思い出したら、まるで優しさが巡り巡って自分に戻ってきたような気になりました。こんなことを表したことわざが『情けは人のためならず』なんです。
「人に優しくしてあげるということは、その人のためではなくて巡り巡って自分に返ってくるから結局は自分のためになるんだよ。」というのがその意味なんです。人に優しくすると、優しくされた人はその他の人に優しくします。そうして優しさは社会に広がり、みんなが互いに思いやる住みよい社会になっていくのです。「優しさ」って、すごい力を持っている気持ちだと思いませんか。大枝小学校みんなの教育目標の一つ、「やさしく」はそんな素敵な心を持とうということなのです。
(2013.6.21)

校長室だより…朝の会のお話「かしこく やさしく たくましく」2

本当のたくましさとは、どういうことか     

 運動会が2週間後に近づいてきました。楽しみだなと思う人や運動が苦手な人などはちょっといやだなと思うかも知れませんね。でも、どうして大枝小学校では運動会をするのでしょうね。
 運動会は小学校では明治時代と言って、100年以上前から行われ続けています。私たちの大枝小学校は今年度で141年目になる歴史ある学校ですが、明治24年といいますから120年以上前に初めての運動会が当時の学校である徳本寺で行われたそうです。おそらく、それ以来ずっと行われてきた学校行事なのです。このことは、運動会がどれだけみんなにとって大切なものであるかを示しています。どうして運動会をそんなに長く続けて来たのでしょうか。もう勘のいい人は気づいていますね。そうです、私たち大枝小学校の目標「かしこく、やさしく、たくましく」の中の特に「たくましく」に関係ありそうですね。
 運動会が近づくと、私は学年で1番足の速い、ある5年生の男の子のことを思い出します。その子の学校では児童代表の運動会実行委員が運動会の種目を考えて運動会を行っていました。実行委員会ではこんな種目を考えて準備にかかりました。個人競争のチャンスレースです。スタートしてカードを拾います。そのカードに書いてある色、赤・緑・黄のどれか一つの色のドッジボールを探してゴールするという種目です。ところが、その男の子には生まれつき、目に問題がありました。色の見分けがつきにくいという問題です。カードに書いてある字で探すべきボールの色が分かっても、どのボールがその色なのか分かりにくいのです。その子の目の問題を知っている先生方は迷いました。「実行委員の意見は大切にしたい。でも運動会でその子に悲しい思いはさせたくない。競技を変えるか。それとも、どうかしてその子に手助けをしようか。」と…。
 次の日、その子のお母さんから電話がありました。「先生、息子から聞きました。ボールのチャンスレースは予定通りやって下さい。息子はこれからも色の分かりにくい自分の目と共に生きていかなければなりません。自分で問題を解決するように話しておきますから。」と。
 運動会当日になりました。私は運動会の準備係で5年生チャンスレースのドッジボールの所にいました。その子がスタートしカードを拾い、ちょっと迷いながらボールを選びました。そして、ゴールではなくて係の私の方へまっすぐ走ってきます。
そして私にこう聞くのです。「先生、このボールの色は緑ですよね。」私が「そうだよ。」と答えると、にこっと微笑んでゴールに向かいました。2着でした。私は「たくましいなあ」と思いました。走る姿にではなく、自分で行動する姿にです。
 運動会は、その練習の中や当日の会の中で、体を鍛えたり進んで考えて行動したりするのにぴったりの行事です。自分にいろいろな問題があってもそれを乗り越えていけるような体と心をつくることが「たくましく」なることだと感じますね。
(2013.5.10)

校長室だより…朝の会のお話「かしこく やさしく たくましく」1

  「かしこい」とは、思いやりながら学ぶこと     
 
 月曜日の始業式の時に「かしこく」「やさしく」「たくましく」を意識してめあてを立ててくださいというお話をしました。もうめあてを立てたでしょうか。今日は「本当にかしこいとは、どういうことなのか」ということについてヒントになるお話を紹介します。
 アメリカ合衆国の小説家、オー・ヘンリーという人が書いたお話です。題名は最後に教えるね。ある貧しい夫婦がおりました。ジムという夫とデラという妻です。毎日の食事をしていくのが精一杯で自分たちの楽しみに使うお金などはありませんでした。クリスマスが近づいてきました。アメリカではクリスマスに自分の大切な人に贈り物をすることをとても大事にします。ジムとデラも相手に秘密で、何とかお金を手に入れて相手の喜ぶ贈り物を買おうとします。妻のデラは考えました。夫のジムはたった一つの宝物である、金の懐中時計を大切にしている。それは、おじいさんからお父さん、そしてジムへと受け継がれた宝物だけれど、つるす金の鎖がなかったのです。金の懐中時計に金の鎖をつけることができたら、ジムはどんなに喜ぶだろう。そう考えたデラは、自分のものでたった一つ価値のあるもの、自慢の美しい長い髪の毛を、かつらを作って売るようなお店でバッサリと切って売ってしまったのでした。自慢の長く美しい髪の毛はなくなってしまったけれど、ジムはきっと喜んでくれるだろうと思いました。
 その頃、ジムもデラの喜ぶ贈り物を考えていました。デラのたった一つの自慢は長い長い美しい髪の毛でした。その美しい髪の毛をとかす、櫛(くし)をデラはほしがっていました。長く美しい髪の毛をすてきな櫛でとかし、もっと美しくできたなら、デラはどんなに喜ぶだろう。そう考えたジムは、自分のものでたった一つ価値あるもの、金の懐中時計を売ってしまいました。大切な金の懐中時計はなくなってしまったけれど、デラはきっと喜んでくれるだろうと思いました。
 こうして二人の贈り物はそれぞれ意味のないものになってしまいました。皆さんは、この夫婦を「馬鹿だな」と思いますか。このお話の題名は、実は「賢者(賢い人)の贈り物」とつけられています。愚か者ではなく賢い人だというのです。このお話から教えられるのは、「かしこい」とは人の気持ちを思いやりながらよく考えたり、自分がどうしたいかではなく、どうすることが一番よいのかを考えたりすることだということです。そうすれば結果は関係ないのじゃないかということです。学習する時によく考えて一生懸命やっていくと深く考える力が付き、賢い自分になることができます。一日一日の生活や学習が「かしこく」なるための毎日なのかもしれませんね。(2013.4.12)

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