最新更新日:2017/03/31
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朝の会の話 〜 かしこく やさしく たくましく 14 〜

     命を救う魔法の水ORSと科学者

                伊達市立大枝小学校長 安生 昌弘
 今日はまず,とても体に良いある飲み物を飲んでもらいます。(ここで全校生に校長手作りのOral Rehydration Solution<経口補水液>を飲んでもらいました。)おやおや,美味しくないという人が多いね。このORSを必要とする人がいるのですが,どんな人だと思いますか。実は,開発途上国の子ども達に必要なのです。開発途上国とは,人々が生活するためのインフラといって道路・鉄道・水道・電気・ガス・学校などがきちんと整っていない国々のことで地球上ではアフリカやアジアに多くあります。
 それでは,どうしてアフリカやアジアの子ども達はORSを必要としているのでしょうね。このORSを飲むと体の外に出ていってしまった水分を補うことが出来て,体力を回復させることが出来るからなのです。
 現在,世界中で毎年,およそ660万人の5歳より小さい子ども達が病気や戦争,食べ物が足りないことでなくなっています。毎日,1万8千人の小さい子どもが亡くなっていることになります。1万8千人というと梁川町の総人口と同じくらいになります。こうしていても5秒に1人,世界のどこかで小さい子ども達が亡くなっているのです。一番多くの子ども達が亡くなっているのが,アフリカやアジアの開発途上国なのです。
 アフリカやアジアの子ども達が病気で亡くなっていく一番の原因は何だと思いますか。それは何と「下痢」なのです。下痢で毎年およそ60万人ほどの子ども達が亡くなっているのです。11日間で梁川町の総人口と同じくらいの子ども達が下痢が原因で亡くなってしまうんです。下痢で体の外に水分が出ていってしまって,脱水症状というのになって亡くなってしまうんです。
 ここで,脱水症状から命を守ってくれるのが,さっきのORSです。私が特別に作ってきた物だったのです。この命を救う魔法の水のようなORS1リットルは日本で作るといくら位だと思いますか。わずか10円です。水道の水に砂糖と食塩を入れて作りました。なぜ,こんなに安くて簡単に作れるORSがあるのに1年に60万人もの子ども達が下痢で亡くなっているのでしょうか。開発途上国には,飲んで良い安全な水がとても少ないのです。日本では水道の蛇口からきれいな水がいつも出てきます。しかし,開発途上国では川や池の水,あまりきれいではない井戸の水を利用しています。その水の中には下痢を起こしやすい,ばい菌が多く生きています。また,ばい菌が多いので,簡単にはORSを作ることが出来ないのです。
 日本に住んでいる私たちに出来る事がありそうな気がしますね。ユニセフという世界の国々が力を合わせて創っている集まりが,開発途上国の水道やきれいな井戸を作ること,ORSを送ってあげることなどをしています。ユニセフに寄附をすることも私たちに出来る事の一つかも知れませんね。大人になったらたくさんの寄附を考えて下さい。
 病気を治す薬で開発途上国の人々を助けた日本人の科学者がいます。2015年のノーベル医学生理学賞を受賞した,大村智さんです。北里大学教授の大村智先生は,一年中暑い国々で虫に刺されることで感染する(うつる)病気で,罹ると目が見えなくなってしまうような病気が治ったり,罹らなくなったりする薬を発明しました。それだけでもすごいのに,大村智先生は,20年程前から薬を製品として作る会社と協力して,無料でアフリカやアジアの開発途上国の人々にプレゼントしていました。一年に1回飲むだけでその病気に罹らなくなる素晴らしい薬です。毎年3億人の人が飲んでいるそうです。大村先生がアフリカのガーナという国に10年前に行った時は,その薬の発明者でプレゼントしてくれている科学者だと分かると,英雄としてたくさんの子ども達に囲まれたそうです。目が見えなくならないで済むのですから,ORSのように命を救われるのと同じですよね。
 今日は,世界には命を失う子どもがたくさんいること,でも,それを救う物や人や集まりもあるんだよというお話でした。(2016.2.5)

朝の会の話 〜 かしこく やさしく たくましく 13 〜

   みんなが「めあて」を立てるのはなぜだろう
                 伊達市立大枝小学校長 安生 昌弘
 今日は,この後,みんなのめあてを発表し合う朝の会です。そこで,なぜめあてを立ててそれを発表なんてするのかという話を今日はします。
 めあての前にまず「夢」についてです。よく「あなたの夢は何?」とか「将来の夢は何?」とか訊かれますよね。これは,「大人になったらどんな仕事をするのか」とか「どんな大人になるのか」とか,スポーツをしている人なら「オリンピックに出る」とかいうものです。つまり,「人がなぜ生きていくのか」とか「なぜ頑張っているのか」ということの答えみたいなものが夢なのです。人が何十年もの長い時間をかけて頑張って辿り着くものが「夢」なんです。
 男の子にとても人気があるけど,とても叶えるのが難しい夢があります。それは,「宇宙飛行士」です。日本人で宇宙飛行士になって宇宙に行った人は,たった10人しかいません。その中でも一番多く4回も宇宙に行った若田光一さんの言葉を紹介します。

 人生は究極的には,自分への挑戦。ハードルが高ければ高いほど,
やり甲斐があると信じ,どんなときも前を向くことが大事。(若田光一)

 人が生きていく意味が,夢にどれだけ近づけるかですから,それは人との競争ではなくて自分自身がどれだけ頑張れるのかという事なんだと思います。自分の「怠けたい」とか「楽をしたい」とか,そんな怠け心に自分の良い心が勝つという事なのです。ハードルとは頑張るのが難しいことです。難しければ難しいほどできた時うれしいぞと諦めないことが大事だと若田光一さんは言っているんですね。そのハードルが実はみんなの立てているめあてなのです。そして,いくつものハードルを越えた先にあるゴールがみんなの「夢」なのです。
 みんなのめあては,学校でやっている学習や活動に関係するものが多いと思います。大人の中には,学校で勉強や活動していることの中には,大人になって必要なことばかりじゃないから,あんまり学校では勉強しなくて良いんじゃないかという人がいますが,それは間違いです。担任の先生の言うことをよく聞いて勉強していると,必ず「考える力」が身に付いてくるし,何よりめあてに向かって頑張る良い心が育ちます。その二つが将来,必ず夢を叶えるためのハードルを越えていく力になるんです。だから,先生方はめあてや目標を持って頑張るんだよと励まして下さるんですね。
 今,みんなが学校で学習や活動のめあてを立てて頑張ること,つまりハードルを一つ一つ越えて前に進んでいくことは,必ず大人になって夢を叶えることや仕事を頑張ること,幸せな生活をすることになるのですよ。きょうは「めあてを立てるのはなぜ?」というお話でした。これから発表される,みんなのめあてを楽しみにしていますよ。(2016.1.15)

3学期始業式の話 〜 かしこく やさしく たくましく 12 〜

   平成27年度3学期始業式の話
                  伊達市立大枝小学校長 安生 昌弘
 冬休みが終わりました。家族と一緒に楽しく過ごせましたか。終業式に言ったように,去年を「終わりよければ,すべて良し。」にすることができましたか。お正月に新しいめあてや計画を立てることができましたか。
 さて,今日は平成28年最初の学校の日です。みんなは学年が1つ上に上がる年のスタートの日です。特に6年生は卒業をして梁川中学校へと進学する年になりました。いよいよという感じですね。今年はさる年で,猿という動物は賢いイメージのある動物なので,みんなの学習が進むと良いなあと思います。
 ところで,今日は1月8日ですが,昨日までに家族から「あなたの今年の計画や目標は何かな。」と訊ねられた人はいますか。実は日本には古くから「一年の計は元旦にあり」といって「その年1年間の計画は元日の朝に決めると良い」ということわざがあります。これは本当は「計画や目標は早いうちにしっかり立てなさい」という私たちの生き方へのアドバイスなのです。
 良い計画や目標がどれだけ大事なのかを教えてくれる諺(ことわざ)の話をします。私が中学生の時に担任の先生に教えてもらった諺です。それは,「棒ほど願って,針ほど叶う」という諺です。「人がこうなりたいと棒の太さ程の難しさの目標を持って頑張ったとすると,実際は針ほどの細さのことしか出来るようにはならないよ。だから,夢はでっかく,目標は高くしなさい。」という意味です。きっと中学生だった私は,その時,自分の目標が低すぎたのでしょうね。目標を考え直させるために,担任の先生は私に「棒ほど願って針ほど叶う」のことわざを教えて下さったのでしょう。それからは,希望を持ったり,目標を立てたりするときは,いつも「棒ほど願って,針ほど叶う」という諺を思い出して生活してきました。だから,いろいろな願いを叶えるために少しは頑張って来られたのかなと思いますよ。
 3学期の学校での目標は,担任の先生と相談しながら「棒ほど願って針ほど叶う」を考えながら立てて下さい。また,その他に自分の1年間の計画や目標を立ててください。そして,家族に計画や目標を訊かれていない人は「ボクの今年の計画や目標はこんな事なんだ。」と1月15日までの間に家族に話してください。そうすれば,きっと家族はみんなを応援してくれるし,何よりも怠けそうになる自分を自分の心が励ましてくれるようになります。1月15日までは,もともとは「松の内」といってお正月の飾りを出しておく期間なので「元旦」と同じと考えて,大枝小のみんなの家庭では計画や目標が間に合うことにしましょう。そして,3学期は授業がある日が51日と少し短いけれど,「棒ほど願って,針ほど叶う」ということを考えながら立てた目標で,今の学年や小学校生活のまとめに向けてしっかり頑張っていきましょう。(2016.1.8)

2学期終業式の話 〜 かしこく やさしく たくましく 11 〜

       第2学期終業式の話
                 伊達市立大枝小学校長 安生 昌弘
 今日は2学期の終業式,2学期が終わる,締めくくりの日です。2学期は何日,学校の日があったのでしょうか。予定では80日間でしたが,9月11日に台風で1日お休みがあったので,79日間でした。毎日の4時間から6時間の授業に加えて,たくさんの学校行事や体験活動をしてきましたね。始業式から始まって,あぶくま洞の地底探検と張り子作りをした環境学習,3・4年生の大枝小での初めての宿泊学習,全力を尽くした6年生の陸上記録会,先生や劇団風の子の澤田さんにアドバイスをもらいながら創り上げた学習発表会(枝っ子祭り),全員が自分の記録を更新した校内マラソン記録会,1年生の国語の授業に多くの先生方がいらっしゃったこともありましたね。振り返って考えると,79日間の積み重ねってすごいことだと思いますね。
 さて,明日から16日間の冬休みが始まります。冬休みは寒いけれど,夏休みにはない楽しい家庭の行事がたくさんあるので,なぜかうきうきします。楽しみだね。
 まずは,クリスマスをお祝いするでしょう。「メリークリスマス」は日本語で言うと「クリスマスおめでとう」です。「MERRY」は「楽しい」という意味もあり,漫画「ワンピース」のルフィの乗る船「ゴーイングメリー」号は「楽しく行こうぜ」号という感じかも知れませんよ。
 次は,大晦日とお正月ですね。この時,日本では家族が久しぶりに集まることが多いです。毎月の最後の日を「晦日(みそか)」といい,その中でも12月の最後の日は1年の最後でもあるので大「晦日」というわけです。日本人はその年の最後の日である12月31日(大晦日)と翌日の1年最初の日,1月1日(元旦)に家族一緒に過ごすことを大切にしているのです。私たち日本人が物事の最初と最後を大切にしていることが何となく分かりますね。今日は2学期の最後の日ですし,まもなく1年の最後の日の大晦日もやってきますから,物事の終わりや締めくくり,そして1年の始めのお正月について話をします。
 物事の終わりというと日本には昔からこんな言葉があります。「終わりよければ,すべて良し。」何事も始め方ややっている途中がうまくいかなくても,最後の締めくくりをしっかりやると大成功にすることができるよという魔法のような言葉です。つまり,1年の最後に挽回のチャンスがあるということです。もしかしたら,年末やお正月に大人の人にきちんと挨拶できれば,大枝小5つの約束の1番目,挨拶するというめあてを大成功にすることができるのかも知れません。また,家の掃除を手伝うことも大枝小5つの約束の5番目,整理整頓のめあてを挽回して大成功にすることにできるのかも知れませんね。1年間や2学期の学習のめあてがあった人も冬休みは挽回のチャンスですよ。めあて通りになかなかうまくできない私たちに優しい言葉ですよね。「終わりよければ,すべて良し。」は……。
さあ,明日から冬休み,2学期の学習のまとめと自分が思いつく生活のことでの何か一つ以上の事を「終わりよければ,すべて良し。」にして,気持ちよく大晦日を迎えて下さい。そして,1年の始まりのお正月がありますから,自分自身の新しいめあてや計画を立てて下さい。これが私からの冬休みの宿題です。3学期が始まる1月8日に「終わりよければ,すべて良し。」を一つ以上できたみんなが,すっきりした顔で元気に登校すること,そして新しいめあてや計画を立てたみんなが,頑張るぞーというきらきらした目で元気に登校することを楽しみにしています。(2015.12.22) 

朝の会の話 〜 かしこく やさしく たくましく 10 〜

   トイレには本当に神様がいる 〜 小さな生き物のお陰 〜
                  伊達市立大枝小学校長 安生昌弘
 みんなは,『トイレの神様』という歌を知っていますか。この歌は「トイレには美しい女神様が目に見えないけれどいるので,綺麗に掃除すると女神様が喜んで,その掃除した人を美人やかっこいい人にしてくれるよ」という歌です。しかし,本当の意味は,誰もが嫌がる汚い場所を一所懸命に掃除する人は,気立てが良いと言って心の美しい人,つまり思いやりのある優しい人になれるよということなんです。だから,本当に神様がいるわけじゃないのかも知れませんね。でも私は別の考え方でトイレには本当に神様がいると思っているのです。それはこれから話すことで分かってもらえると思います。
 みんなは,学校のトイレにおしっこやうんちやトイレットペーパーを流しますね。それはトイレの穴から流れて入ってどうなると思っていますか。大枝小学校では,床の下や地面の下を通って体育館の通路脇にある浄化槽という地下のタンクに入っていきます。そのまま川に流してしまったら大変なことになりますからね。そのタンクの中には,バクテリアとか細菌とか言われる小さな小さな生き物,微生物が入れられているんです。このたくさんの生き物たちが真っ暗なタンクの濁った水の中で,おしっこやうんちや水に溶けたようでも細かくなっただけのトイレットペーパー等をせっせと食べてくれているんです。おしっこやうんちやトイレットペーパーを食べた微生物の体からは,人間にあまり害の無い物しか出てきません。ありがとうと言いたくなりますね。
 タンクに入った,汚れて濁った汚い水は飲めはしないけど,透明で臭いもないきれいな水になって出てきます。そして小川を流れ,阿武隈川に流れ込んでいくのです。梁川町内はたくさんの家のトイレや台所の汚れた水を全部下水道という地下の大きな管,パイプで集めて阿武隈川の近くにある浄化センターできれいにしてから阿武隈川に流しています。巨大な浄化槽タンクのようなものですから,大枝小学校と同じく小さな生き物におしっこやうんちやトイレットペーパーを食べてもらっているのですね。
 小さな生き物たちの働きぶりを考えると,小さな生き物が神様のように思えてきませんか。だから,私はトイレの穴の先の暗闇に小さな生き物という神様がいるように感じるんです。だから,心を込めてトイレをきれいに掃除することが小さな生き物にありがとうの気持ちを伝える事になるので,きっと良いことがあるような気がするのです。
 今日はトイレが小さな生き物という神様がいる浄化槽タンクにつながっているので,きれいに掃除することは素晴らしいことだということ。そして小さな生き物は食べ物としての人間のうんちをとても喜んで食べてくれる神様みたいだよというお話でした。先月,人間は食べ物として生き物の命をいただいているという話をしましたが,その残りかすであるうんちなどを,また生き物にお世話になって生きているのですね。生き物に感謝しなくちゃいけませんね。(2015.12.4)

朝の会の話 〜 かしこく やさしく たくましく 9 〜

   人間は命をいただいている 〜「いただきます」の理由 〜
                   伊達市立大枝小学校長 安生 昌弘
 収穫の秋は食べ物が豊富でおいしい季節です。今日は「食べる」ということについて話をします。
 人間は,生きるためにものを食べますが,みんなは,食事の時に「いただきます」と言いますね。どうしてですか。そうですね。食事を作って下さった方に感謝の気持ちを伝えるあいさつですね。でも,もう一つ意味があるのです。「いただく」は「自分よりも上のものとして高く差し上げる」という意味もあるのです。つまり,「いただきます」のあいさつは,食べ物自体を有り難いものだと言葉にして感謝することでもあるのです。でも,どうしてでしょうか。それは,食べ物についてじっくり考えると分かってきます。
 食べ物は,すべて「植物」と「動物」を合わせた「生き物」,言い換えると「命」なのです。ちょっと考えてごらんなさい。元が命ではない食べ物ってないでしょう。お米もパンの材料の小麦粉も野菜も植物という生き物で命ですし,魚や肉は本当に動いていた動物で命ですよね。その命を人間は食べてしまうことで終わらせてしまうわけです。または,食べるために生き物の命を終わらせてしまうんです。私たちは普段あまり考えていないけれど,食べるものとしてお店に並んでいるものや食事としてテーブルの上に並んでいるものは,すべて人間が生きるために命を差し出してくれた生き物なのです。そう分かると,好き嫌いをしたり,無駄にしたりするといけないのだなと思いますよね。生き物の命である食べ物を大切に食べてあげなくちゃと思うでしょう。
 日本人は,人間のために命を差し出してくれた生き物を自分の頭の上に高く差し上げて,感謝の気持ちよりももっと大きな自分より尊いものという尊敬の気持ちを「いただきます」というあいさつに込めているのです。素晴らしいですね。そして,食べ終わった後は「ごちそうさま」というあいさつをしますね。これは,今度は食べ物を準備してくれた人や作ってくれた人への感謝のあいさつです。「ご馳走」とは「馬を走らせたり自分が走り回って準備したもの」という意味です。「そんなに努力してまで準備してくれてありがとう」という意味なんです。外国には「いただきます」や「ごちそうさま」に当たる言葉が無いそうです。食べる前に神様に感謝のお祈りをしたり,食べた後に「美味しかったよ」という位だそうです。日本人は生き物の命を「いただく」,準備してくれた人に感謝して食べ物を「ごちそう」と呼んで言葉にしてきたのです。
 今日は食べ物が生き物の命であることを忘れずに心を込めて「いただきます」のあいさつをし,命を無駄にせずに好き嫌いなく食べ,準備してくれた人に感謝して「ごちそうさま」のあいさつをしようというお話でした。  (2015.11.6)

朝の会の話 〜 かしこく やさしく たくましく 8 〜

   学習発表会を成功させよう 〜 頑張る姿の力 〜
                      大枝小学校長 安生 昌弘
 今月の最後の日,31日には学習発表会があります。少し会の形は違うけど,学習発表会は,おじいちゃんやおばあちゃんが小学生だった頃,学芸会と言いました。「芸」というと「お笑い芸人」のイメージから人を笑わせるのかなと思うかも知れないけど,「学芸」とは「学問と芸術」という意味で,皆さんが感心したり,感動したりして欲しいなという会だったのですね。大枝小学校は,今年で142年目を迎えますが,大枝小学校最初の学芸会は,大正2年と言いますから,今から102年前に始まりました。それが学習発表会と名前を変えても,ずっと続いているのはなぜでしょうか。それは,家の方や地域の方が「見て良かったな。」と思ったからだし,児童のみんなも「やって良かったな。」と思ったからに違いありません。感心したり,感動したりできたのですね。去年の大枝小の学習発表会も,とても感心したり感動したり出来るものでした。
 ある学校での学習発表会の出来事について話します。ある劇の主役を務めることになった3年生の真一君は学習発表会まで長いセリフを覚えて,先生の注意をたくさん受けて一生懸命練習を積んできました。主役なので練習の時間も人より2倍も3倍も多いのです。立っている時間も長いので,練習の途中で足が痛くなるほどでした。学習発表会の当日がやってきて,真一君達3年生の劇が始まりました。体育館のたくさんのお客さんに緊張してしまったので,劇が始まってすぐに真一君はセリフを忘れてしばらく黙ってしまいました。そして「あれっ,何だっけ?」と言ってしまったので会場からはクスッと笑い声が聞こえました。真一君は益々緊張して「どうしよう」と思いました。舞台の陰にいた友達が小さな声でセリフを教えてくれたので,何とかセリフを言うことが出来ましたが,恥ずかしくて顔は真っ赤です。でも,真一君はその後の劇をとにかく「一生懸命」にと考えながら終わりまでやり遂げました。会場からは大きな大きな拍手が送られました。
 学習発表会が終わって教室に帰った真一君は,3年生のみんなに申し訳ないなあという気持ちでいました。劇を失敗にしてしまったと思ったからです。でも3年生のみんなは,誰ひとり真一君を責めませんでした。
「真一君,心配するなよ。一番練習してきたのが真一君だってみんな分かっ
ているよ。」と友達がみんな言ってくれました。
「真一,3年生の劇は良かったぞ。セリフを忘れた後,失敗した後が大事な
んだよ。その後の真一君達の一生懸命さに感動して,お客さんは大きな拍
手をしてくれたんだよ。」と先生が言いました。
 学習発表会で感心して頂いたり感動して頂いたり出来るのは,発表の内容だけではありません。学習発表会の日まで頑張って練習すると,それが本番の時に一生懸命な姿として表れ,家の方や地域の方に感動として伝わるのです。これからの学習発表会へ向けての取り組みに全力で頑張ってほしいと思います。「みんなの力一杯頑張る姿が学習発表会の成功につながるよ」というお話でした。(2015.10.9)

朝の会の話 〜 かしこく やさしく たくましく 7 〜

   表現できると世界が広がる 〜 演劇による教育のわけ 〜
                伊達市立大枝小学校長 安生 昌弘
 明日,大枝小学校では演劇教室があります。今年は,会津地方にある喜多方市に事務所のある「劇団風の子東北」の澤田修さんという俳優さんに紙芝居をやりながら,たった一人で進めていく演劇を見せてもらうことにしました。紙芝居用のお話も絵も澤田さんが作って,みんなに見せるのだから,始めから終わりまで全部やっちゃうわけです。すごいね。どうしてもみんなに伝えたい「土の話」というのをやってくれるそうです。楽しみにしていて下さい。
 ところで,どうして大枝小学校では,授業で演劇を観たり,学習発表会で演劇を観てもらったりするのでしょうね。それは,演劇を通して,小学生のみんなが成長できるからなのです。だから,大枝小学校では今年,「演劇による教育」に頑張っているんです。7月の七夕集会でも先生方の演劇で七夕伝説をみんなに伝えたでしょ。思い出しましたか。
 演劇は,音楽や絵,作文,話などと同じように自分の考えを他の人に伝えるために,とても役立つものです。自分の考えを分かるように表すことを「表現」といいます。演劇を通して表現する力がついてくるので,みんなは成長できるわけです。表現することは,とても大事です。何より自分のことを多くの人に分かってもらうことができます。自分のことを分かってもらえると社会の中で助け合いながら楽しく生活することができるようになります。また,表現すると自分が自分自身のことをよく分かることができます。学習して分かったことをノートに書いたり,先生や友達に話すとよりはっきり分かってくるのは,そのためです。三つ目は,表現すると自分自身が気持ちよくなってスッキリするということです。みんなは,家族や友達に話を聞いてもらうと,何となくスッキリするでしょ。大人の人はお金をかけてまでカラオケで歌を歌いに行くでしょ。スッキリすると,また頑張ろうという気持ちが湧いてくるものです。最後は,表現の仕方そのものを上手になるということです。歌い方を習っても実際に歌わなければできるようになりません。話し方を習っても演劇で良く伝わる話し方をやってみなければ,できるようになりません。このように「表現」するということは,みんなが成長できるチャンスに溢れているのです。
 明日の演劇教室のあと,10月には演劇のプロフェッショナルの澤田さんに「演劇ワークショップ」という表現することの練習会をやって頂いたり,2回くらい各学級の学習発表会の練習の時間に指導に来て頂いたりします。恥ずかしいという心を乗り越えたところには,表現する喜びに満ちた世界が広がっています。大枝小学校の15名が,「演劇による教育」で表現力を大きく伸ばして成長し,自分の世界を大きく広げられるよう期待しています。ですから,演劇教室『土の話』の時は,お話の内容だけじゃなく,どんなふうに話したり,表情を変えたりすると相手に伝わりやすいのかなあという事も学んで下さい。今日は,演劇の秘密をつかもうというお話でした。
(2015.9.14)

2学期始業式のお話 〜 かしこく やさしく たくましく 6 〜

   光り輝く自分のために 〜 2学期始業式の話 〜
                  伊達市立大枝小学校長 安生 昌弘

 昨日で長い38日間の夏休みが終わり,今日は2学期が始まる日です。夏休みに4つのチャンスを生かすように話しましたが,どうでしたか。『たしかめ学習』『ちょうせん学習』『までいな仕事』『ちいきの行事』の四つのチャンスでした。「た」「ち」「ま」「ち」過ぎてしまった夏休みには,なりませんでしたか。夏休みで付けた力を生かして自分をぐんと伸ばすのが2学期ですから,がんばっていきましょう。
 ところで,今日登校する時,通学路の途中の田んぼの稲を見ましたか。夏休みの間にずいぶんと大きく成長しましたよね。8月のお盆の前に,みんなが気付かないような真っ白い小さな花を咲かせて,その花がお米の実になって育ち始めてるんです。これから秋に向かって稲はもっと大きくお米を実らせていきます。楽しみですね。でも,不思議じゃありませんか。あんな汚く見える泥の中に生えているのに,真っ白な輝くようなおいしいお米が出来るのですよ。
 私は不思議でたまりませんでした。でも,夏休み中にあの田んぼの稲を見ているうちに思い付きました。それは人間の努力というがんばりとその人が力を伸ばした輝く姿との関係です。がんばっている姿は,人から見ているとかっこ悪く,汚い泥のように見えるかも知れません。でも,そのかっこ悪い姿の中で努力して力を伸ばすから,光り輝くような自分になれるのではないかと思うのです。稲の姿とこれから実るお米から,努力とがんばることの大切さを教えられたように感じました。出来ないことを「出来ない」というのを恥ずかしがってはいけないし,出来ないことを頑張って出来るようにしようとしている人を「かっこわるいなあ」とバカにしてはいけませんよ。
 1学期の始業式にみんなは自分のめあてを立てたはずです。でも,それが自分にとって良いめあてとなった人ばかりではないと思います。いつの間にか忘れてしまった人もいるかも知れません。そこで,自分の学校生活のめあてを確かめたり,見直したりして下さい。その時,2学期の終わりにどんな自分になっていることが素敵なのかを考えて,めあてを立てることが大事です。力いっぱいに根から栄養や水を吸い上げて米を実らせていく稲に負けないよう,光り輝く「かしこく」「やさしく」「たくまし(く)い」子どもになるため,1学期より9日間長い80日間をがんばり通す,2学期のめあてというパワーを15名全員が持って欲しいと思っています。(2015.8.25)

1学期終業式のお話 〜かしこく やさしく たくましく 5〜

      た・ち・ま・ち・終わるな夏休み 〜1学期終業式の話〜    
                            大枝小学校長 安生 昌弘
 今日は1学期の終業式,1学期が終わる,締めくくりの日ですね。1学期は何日,学校の日があったのでしょうか。実は71日間なのです。毎日の45分間の授業に加えて,たくさんの学校行事や体験活動をしてきましたね。入学式や始業式から始まって,1年生を迎える会,交通教室,避難訓練,運動会,防犯教室,宿泊学習や七夕集会などもありましたね。振り返って考えると,71日間の積み重ねってすごいことだと思いませんか。1学期の始業式に自分にあったちょうど良いめあてや目標を立てましょうという話をしました。どれくらいやり遂げることが出来ましたか。思い出と共に振り返ってみましょう。
 さて,明日から38日間の長い夏休みが始まります。楽しみだね。考えてみると,土曜日や日曜日も入れるけれど,71日間の1学期の半分以上の日数が夏休みの期間なのです。やる気のある人が何かを積み重ねると,夏休みには,きっとすごいことができるような気がしますね。そうです。夏休みは,みんなにとって『チャンス』なのです。でも「夏休みは長いぞ」と思ってのんびりしていると,始まったと思ったら「たちまち」(すぐに)終わってしまうものなのです。
 夏休みのチャンスは,まず第一に学校の授業はお休みですから,新しい学習が進められるということはありません。よく身に付いていない学習をやり直したり,1学期に学習したことを確かめたりすれば,2学期の学習をすらすら出来るようになります。つまり『確かめの学習』ができるのです。夏休みの友は確かめの学習の一つです。
 第二には,長い夏休みにしかできない学習に取り組むことが出来ます。長い時間をかけて生き物とか草花をじっくり観察することや理科の自由研究に挑戦すること,普段書くよりも長い作文に取り組むこと,いつもより厚い本を読むことや読書感想文に挑戦することなどです。つまり『挑戦(チャレンジ)の学習』ができるのです。
 第三には,家族のためになる家庭の仕事を,学校がある日よりも多くすることができます。そうすると,家族に喜んでもらうことができ,家庭を幸せにする役割を果たすことができます。丁寧な仕事をすることが大切です。「丁寧な」ということを梁川の方言で「までいな」と言います。つまり『までいな仕事』ができるのです。家の仕事を何か一つ以上任せてもらうようにしましょう。
 最後に,地域の行事に思い切って出ることができます。盆踊りや夏祭りなどのことです。東大枝や梁川町,伊達市のことをよく知ることができるのです。つまり『地域の行事』に参加できるのです。どうですか? 夏休みには4つの『チャンス』があるでしょう。
 さあ,明日からの夏休み,チャンスを生かすかどうかは,自分次第です。『たしかめ学習』『ちょうせん学習』『までいな仕事』『ちいきの行事』を頑張るチャンスなのです。たちまち夏休みが終わってしまったにならないように「た」「ち」「ま」「ち」の四つのチャンスを生かした夏休みにしましょう。大枝小の夏休みの合言葉を『「た」「ち」「ま」「ち」終わるな夏休み』にしましょう。(2015.7.17)

朝の会の話 〜 かしこく やさしく たくましく 4 〜

    夏休みは思い出づくりのチャンスだ 〜理科自由研究のススメ〜
                         伊達市立大枝小学校長 安生昌弘

 夏休みが近づいてきました。楽しみだね。1年生には小学校初めての夏休みで,4月の入学から4か月間がんばったご褒美のような感じですね。6年生には小学校最後の夏休みなので、良い思い出をいっぱい作ってほしいと思っています。でも良い思い出ってどんな思い出なのでしょうね。それは自分の心の中にずっとあって,時々普段の生活の中で,つらい事があった時とか,くじけそうになった時とかに自分を励ましてくれるような「楽しかったな」とか「何かをやり遂げたな」とか感じられる思い出の事です。私は,夏休みが近づいてくると決まって自分が小学6年生の夏休みに取り組んだ理科の自由研究を思い出します。私の良い思い出の1つです。
 夏休みが近づいてきたある日,私は「理科の自由研究に何をやろうかなあ。」とぼんやり家の正面に見える山を見つめていました。「小学生最後の夏休みだから,あの山みたいにでっかいことに挑戦したいなあ。」と考えていました。そして,思いつきました。「よし,あの山にある花や草などの植物を全種類採集して押し花標本を作ってやるぞ」と。
 夏休みが始まると行ける日は毎日のように山に出掛けて,籠に入るだけのたくさんの植物を根っこごと採ってきて,新聞紙に挟んで重石をのせて押し花標本を作っていきました。同時に植物の名前を植物図鑑で調べていきました。何日か経つとすぐに山の全種類の植物採集をすることが,如何に大変な事なのかに気付きました。採っても採ってもまだ採っていない植物が,それこそ山のようにあるのです。びっくりしました。「山の全種類の植物」としていた自由研究の目標を「夏休み中に出来るだけ」と変えるしかありませんでした。
 今まで「草」と一言で呼んでいた植物がたくさん有りすぎて標本に出来たのは, 50種類位でした。でっかい挑戦は成功しませんでしたが,それでもいろいろ分かりました。植物には,とてもたくさんの種類があること,植物の一つ一つに素敵な名前や面白い名前があること,山の上の方にしかない植物があること,毒のある植物もいくつか身近にあることなどです。家のすぐ近くにあったタケニグサという植物は切ると茎から黄色い汁が出るのですが,それが毒なんです。私はタケニグサを押し花標本にする時に切ったので黄色い汁に触ってしまいました。口に入れなかったので助かりました。だから,タケニグサは今でも一目で分かります。いろいろ分かった事と一緒に「自由研究を一生懸命やったなあ」という良い思い出が出来ました。
 当たり前だと思っていることや不思議だと思ったことを実際にやって確かめてみる事に自分から挑戦できる学習。それが夏休みの理科自由研究なのです。自分で考えて自分で研究を進めていくので,どんどんかしこくなることが出来ます。完全にやり遂げることが出来なくても,私のように自由研究が夏休みの一番の良い思い出になることもあります。先生方やお家の方と相談したり,科学に関する本を読んだりして,今のうちに計画を立ててください。この近くの小学生でもその年の4月に自由研究をスタートした人や2年間や3年間にわたって同じテーマの自由研究を続けた人もいます。自分の心を励ましてくれるような良い思い出の1つを手に入れるためにも,自由研究にぜひ取り組んでほしいと思っています。「自由研究は夏休みにぴったりだから頑張って取り組もう」というお話でした。(2015.7.1)

朝の会の話 〜 かしこく やさしく たくましく 3 〜

         〜 水と友達になろう 〜
                         伊達市立大枝小学校長 安生昌弘

 今年も暑くなってきましたね。暑くなると学校では,体育の授業で1・2年生は水と友達になる学習,3年生から6年生は水泳の学習を行います。大枝小には古いですが大きなプールがあります。昭和38年に完成したそうです。年齢をつけるとすると52歳です。頑張っているプールなんですね。なんと今のお金に直すと1500万円もかけて造ったそうです。プールをいっぱいにする水道料金は30万円もかかるのですよ。そんなにお金をかけてまでプールでの体育の授業をするのはなぜでしょうね。それは,それだけ水泳の授業が素晴らしいものだということなのです。
 まず,水泳のよさの1つ目は,健康にとても役立つということです。水の中に入ると急な素早い動きができなくなりますね。まるで体中を押さえられているようです。だから,泳ごうとすると体中の筋肉が一生懸命動こうとして,校庭の上で動く時にはあまり使わない筋肉まで鍛えることになります。さらに,水の中では自由に息をすることができません。苦しいです。これが皆の心臓や肺という内臓を鍛えることになります。運動として健康に2倍役立つ素晴らしい学習なんですね。
 次に,水泳のよさの2つ目は,命を守ることに役立つということです。全く泳げない人と少しでも泳げる人とでは,間違って川や池,海に落ちてしまった時に生きるか死ぬかに分かれることがあります。水に落ちてしまった時,泳げない人はどうして良いか分からずに溺れてしまうのです。私は,中学生の時に,学校から自転車に乗って帰る時,川の堤防の道で友達に悪ふざけで押されて自転車ごと水の中に落ちてしまったことがあります。酷いでしょ。死んでしまうかもとその時は思いましたが,少しは泳げたので,どうしてよいか分からなくなるということには,なりませんでした。落ちた瞬間はびっくりしましたが,落ち着いて川岸に泳いでたどり着きました。自分の命を守ることになりました。船の事故で全く足のつかない海に落ちてしまっても何分間か自分の力で浮いていることができると,助けられたり,つかまることの出来るような浮かんでいるものが近づいてきたりするそうです。何キロメートルも泳げなくても助かることがあるのです。水泳は自分の命を守ることになる素晴らしい学習なんですね。
 ある学校の1年生に信吾君という男の子がいました。怖くて顔を水の中に入れられなかったので,水泳の授業が嫌いでした。体が細くてプールに入ると「寒い寒い」とぶるぶる震えながら立っているだけでした。水が怖いのもあって震えていたのかも知れません。先生方は気休めにペットボトルに入れたお湯を信吾君の周り水の中に注ぎながら,「これで大丈夫だよ」と励まして水と友達になれるよう,プールに潜れるよう応援しました。だんだん顔を水の中に入れられるようになり,水が怖くなくなりました。水泳も好きになっていきました。そして,とうとう6年生の時には,梁川町の8つの小学校が全部集まった大会で50メートル平泳ぎで優勝し,金メダルをもらうまでになりました。水と友達になると素晴らしいことがあるのですね。
 水と友達になるとは,プールの水が怖くなくなることです。顔を水の中に入れたり,水の中で目を開けられるようになることです。これは家で洗面器でも練習できることです。早く水と友達になって,短い間しかできない水泳の学習をなるべくたくさんやって下さい。自分の体や水を怖がる心を「たくましく」できるプール学習にして欲しいと思っています。 ( 2015.6.5 )

朝の会の話 〜 かしこく やさしく たくましく 2 〜

         〜 運動会で大切なことは何だろう 〜
                        伊達市立大枝小学校長 安生 昌弘

 運動会が3週間後に近づいてきました。楽しみだなと思う人や運動が苦手な人などはちょっといやだなと思うかも知れませんね。でも,どうして大枝小学校では運動会をするのでしょうね。
 運動会は小学校では明治時代と言って,100年以上前から行われ続けています。私たちの大枝小学校は今年度で143年目になる歴史ある学校ですが,明治24年といいますから120年以上前に初めての運動会が当時の学校である徳本寺の近くで行われたそうです。おそらく,それ以来ずっと行われてきた学校行事なのです。このことは,運動会がどれだけみんなにとって大切なものであるかを示しています。どうして運動会をそんなに長く続けて来たのでしょうか。もう勘のいい人は気づいていますね。そうです,運動会では毎年,必ず「運動会っていいなあ」と思うことが全員に何かしらあるからなんです。運動会にまつわる,ある女の子の話をします。
 3年生のノリコさんは,運動が苦手な女の子でした。1年生の時も2年生の時も駆けっこ(50メートル走)ではビリでした。だから,運動会は嫌いだったし,家の人に見に来られるのも嫌でした。運動会まで1か月もあるのに教室で悲しそうな顔でため息をついていました。それに気づいた仲良しのミホさんが声をかけました。
「どうしたの,ノリコちゃん。ため息なんてついて。」
「うん,運動会が嫌なんだ。きっと今年もビリだから……。」
「じゃあ,私と学校が休みの日に走るのを練習しようよ。」
ノリコさんは,クラスで1番足の速いミホさんと学校が休みの日の校庭で毎週練習することにしました。
 ミホさんは速く走るコツをノリコさんに教え,ノリコさんも苦手な駆けっこの練習に頑張りました。運動会の前の週までには何となく早く走れるような感じがするまでになりました。そこで,運動会の前の日,ノリコさんは初めてお母さんに言いました。
「お母さん,運動会に絶対来てね。私がんばるから。」
 運動会当日がやって来ました。開会式から始まりプログラム5番目の3年生50メートル走になりました。ノリコさんの「速く走るぞ」という真剣な気持ちは誰が見ていても分かるような様子でした。去年までの何となく運動会が嫌そうな様子とは全く違っていたからです。お母さんも期待しました。「ようい。ドン」でノリコさんはすごい勢いでスタートしました。でも,最初のカーブで勢いがつきすぎて転んでしまいました。みんなはどんどん先に行ってしまいます。ノリコさんは膝もすりむいているようでした。お母さんはこう思いました。
「ああ,ノリコは泣くだろうな。最後まで走れないかも知れないな。」
ところが,違いました。ノリコさんは真剣な顔のまま,すぐ立ち上がるとゴールへ向かって走りました。精一杯走りましたが,今年もノリコさんはビリでした。
 お昼の時間,ノリコさんは,がっかりして家族の所へ向かいました。お母さんに駆けっこで良いところを見せられなかったからです。「お母さん,がっかりしているだろうな。」と思っていました。というのも,50メートル走の後,お母さんが泣いているのが見えたからです。
「お母さん,泣かせてごめんなさい。」
「謝らなくていいのよ。がんばったじゃない。泣かずに。それに,ノリコの名前は,つらい事をノリコえて生きてゆける子になって欲しいとつけた名前なの。転んでつらいことをちゃんとノリコえたでしょ。だからお母さんはうれしくて涙が出ちゃったのよ。」
ノリコさんのお母さんはうれしそうに言いました。ミホさんもノリコさんのことを偉いなあと思っていたそうです。3人とも運動会が「良かったなあ」と思ったそうです。
 運動会は,その練習の中や当日の会の中で,「たくましく」体や心を鍛えるばかりでなく,自分から進んで「かしこく」考えて行動したり,「やさしく」友達と協力しながらいろいろ成し遂げたりするのにぴったりの行事です。6年生は最後の,1年生は初めての運動会で「かしこく」「やさしく」「たくましく」なることを目指して頑張りましょう。そして運動が苦手でも,運動会でうまくいかなくても「運動会っていいなあ」と思えるようにしましょうね。運動会当日だけでなく練習でも頑張っていると「運動会っていいなあ」と思えるよというお話でした。 (2015.5.1)

朝の会の話 〜 かしこく やさしく たくましく 1 〜

        あいさつの力 〜あいさつはなぜするのか〜
    
                         伊達市立大枝小学校長 安生昌弘

 大枝小の学校生活5つの約束の1番目は『あいさつ』ですね。おおえだ心の誓いの1番目は『おあしすに心がけます』ですね。「おあしす」とは,「お・おはよう」
「あ・ありがとう」「し・しつれいします」「す・すみません」のことで,あいさつなどの言葉をきちんと言おうということです。5つの約束もおおえだ心の誓いもその1番目はあいさつのことなんだね。それだけ大切なことだよということです。でも,なぜあいさつは大切で,しなくちゃならないのでしょうね。
 春休み中にこんなことがありました。学校には,いろいろな会社の人がやってきたり,荷物を届けてくれたりします。その多くの人は校長室の外を通り過ぎて玄関へと行きます。その中のある会社の人が「こんにちは」と校長室の方へあいさつして通り過ぎていきました。仕事で忙しいから早歩きなので,私が気づいた時にはもう窓から見えるところにはいませんでした。私は,書類を読んでいたのでその人と目が合ったわけではありませんでした。しばらくすると,その会社の人は仕事を終えて,今度は「ありがとうございました。」と校長室の方へまたあいさつして通り過ぎていきました。仕事で忙しいので早歩きです。私が気づいた時には,もう後ろ姿でした。私は,素晴らしい方だなと思ってうれしくなりました。なぜかというと,その方はあいさつを返してもらうことを期待しないであいさつをしているのだなと思ったからです。人はあいさつをすると「あいさつを返してほしいなあ」と期待してしまうものです。でも,あいさつは自分からするだけでも相手の心に届き,うれしい気持ちを生み出すことが出来るのです。その人と仲良しになることが出来るのです。だから,あいさつは大切なのです。
 あいさつをもっともっと素晴らしいものにするために「あ・い・さ・つ」運動というものがあります。あいさつを「あ・い・さ・つ」から始まることに気をつけると良いよというものです。「あ」は「あかるく」さわやかにあいさつしよう。「い」は「いつでも」忘れずにあいさつしよう。「さ」は相手のあいさつを待たずにさきに自分からあいさつしよう。「つ」は「つづけて」です。実は,「つづけて」とは「あいさつに続けてひとこと言おうということだそうです。例えば,交通安全母の会の方に「おはようございます。いつもありがとうございます。」とか,東大枝地区の方に「さようなら。今日は良い天気でしたね」とか,あいさつにひとこと続けて言おうというわけです。あいさつだけより仲良しになれます。
 大切なあいさつをもっともっと素晴らしいものにするために家でも道でも学校でも「あかるく」「いつでも」「さきに」「つづけて」あいさつをして生活しましょう。大枝小学校の約束ですよ。今日は,なぜ,あいさつが大切かということとあいさつを2倍にパワーアップする「あ・い・さ・つ」運動のお話でした。(2015.4.10)
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学校行事
3/31 離任式 学年末休業日
4/1 学年始休業日
4/2 学年始休業日  PTA歓送迎会(東大枝交流館)
4/3 学年始休業日
4/4 学年始休業日 1年教室式場準備
4/6 着任式・第1学期始業式・入学式 新入学児童・園児の交通事故防止運動(〜12日)
伊達市立大枝小学校
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