【学校長コラム】洪水に備えるマイ・タイムライン

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毎朝,見渡す限りの緑が広がる水田地帯を通勤している。4月に田植えした苗も日に日に大きくなり,まもなく出穂を迎える時期であろうか。我が家では毎年市内の農家から,地元産コシヒカリを購入している。取手の米は本当においしい。少し気は早いが,新米で作った白く輝くおにぎりをほおばることが今から楽しみだ。具材は定番の梅干しか,いやいやタラコも外せない。

取手市は利根川と小貝川の恩恵による豊かな自然と肥沃な土地により,江戸時代には「相馬二万石」とも呼ばれた穀倉地帯。今では大規模化・機械化が進んでいるが,堰を築き,用水路を掘削し,未開の地を切り拓いていった先人たちの苦労が偲ばれる。

恵みをもたらしてくれる河川も,時に人の命や財産を容赦なく奪いさる。平成27年9月の関東・東北豪雨による鬼怒川の決壊,令和元年10月の台風19号による那珂川の決壊が甚大な被害を発生させたことも記憶に新しいところだ。取手市内に大きな被害はなかったものの,河川災害の恐ろしさを再認識された市民も多かったことだろう。

温暖化の影響と言われる豪雨が増えている昨今,取手市がいつ何時こうした災害に襲われるかは誰にもわからない。自分が幼い頃には,市内にも納屋の軒下に川船を吊り下げている農家が点在していた。「何でここに船?」と子ども心に疑問を感じたが,今となればそれだけ出水時の避難や移動への備えが必要な土地だったことを理解できる。

取手市洪水ハザードマップを見ると,本校を含め学区内には浸水想定区域が多数ある。子どもたちには,自分たちが暮らす地域の課題を知り,緊急時には自ら適切な行動をとれるような力を身につけてほしいと願っている。例えば洪水発生時,「いつ」「誰が」「何をするか」を事前に考えておくことで,いざという時,自分と家族がとるべき防災行動はきっとより良いものに変わるだろう。

昨日,茨城県防災・危機管理課から講師をお招きして,マイ・タイムライン作成教室を開催した。「台風が発生」してから「川の水が氾濫」するまでの備え方をそれぞれに考えるなど,一人一人が自分自身の防災行動計画を作ることができた。自分の命は自分で守ること,それは水害に限らずあらゆる災害にも共通することだろう。

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