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4/4 王とサーカス

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 「米澤穂信箸 王とサーカス」は、2015年のミステリー第1位に選ばれた作品です。舞台は2001年のネパール。この年、ネパールでは、王族8人が殺害される王宮事件がおこりました。「王とサーカス」は、この事件も取り込んで、描いたものです。主人公は、記者の大刀洗万知。王宮事件を調べる内に、殺人事件がおこります。その殺人事件と王宮事件を結びつけるものはあるのか。続きはぜひお読みください。

 この物語に、ネパールの貧しい少年「サガル」が登場します。サガルの兄は絨毯工場で働いていましたが、そこが閉鎖され、慣れない仕事をしたため、傷を負い、なくなってしまいました。この「サガル」が、最後にこんなことを言っています。

(引用)
 声変わりも迎えていないはずのサガルの声が、ひどく低く聞こえる。
「俺は言ったぞ。外国の連中が来て、この国の赤ん坊が死んでいく現実を書き立てた。そうしたら金が落ちてきて、赤ん坊が死ななくなったってな」
 そうだ。この街に子どもが多い理由を、私は聞いた。
 俯き、静かな声でサガルは言う。
「仕事もないのに、人間の数だけ増えたんだ」
 ……ああ!
「増えた子どもたちが絨毯工場で働いたら、またカメラを持ったやつが来て、こんな場所で働くのは悲惨だとわめき立てた。確かに悲惨だったさ。だから工場が止まった。それで兄貴は仕事をなくして、慣れない仕事をして死んだ」
(中略)「よそ者が訳知り顔で俺たちは悲惨だと書いたから、俺たちはこの街で這いずりまわっている、と」(後略)
(引用終わり)

 これを読んで、いかが思うでしょうか。
 人を助けるのに、本当に必要なものはいったい何なのでしょうか。
 
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