最新更新日:2024/04/26 | |
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3/31 ゆっくり歩く卒業の季節も終わり、あすはもう四月。門出のときだ。ある小学校では、卒業生一人一人が壇上で、将来の夢や目指す仕事を語り巣立ちの言葉としたが、こういう夢を口にした少年がいたと聞いて、舌を巻いた。 「僕は、新しいことに興味があるので、将来は、今はない職業につきたいです」。未来を見つめる、わくわくとした目の輝きが見えるような言葉ではないか。 まだ見えぬものを懸命に見ようとして、人類は知の地平を広げてきた。人工知能の開発者や遺伝子工学者など、かつては想像もしなかった職業も、そうして生まれた。「今はない職業」を見つけるというのは、すばらしい知的冒険だ。 そんな冒険の旅に出ようという人たちに、読んでほしい一文がある。物理学者で漱石門下の文筆家でもある寺田寅彦の随筆「科学者とあたま」だ。 科学者には「あたまの悪さ」が大切だと、寺田は説く。頭のいい人は足早な旅人。先へ先へと早く進めるが、道端や脇道にあるものを見落としがちだ。見通しがきくから無難な道を選びたがる。 だが頭が悪い人はゆっくり歩むので、道端の宝物も目に入りやすい。前途の見通しがきかぬ分、難関も恐れず進める。<科学の歴史はある意味では錯覚と失策の歴史である。偉大なる迂愚者(おろかもの)の頭の悪い能率の悪い仕事の歴史である>とは、科学者でなくとも胸に刻んでおきたい寺田の至言だ。 (引用終わり) 皆さんはいかがお考えでしょうか。 つい子どもたちに、「早くやりなさい。」という声を掛けがちです。でも、人はそれぞれです。時には立ち止まって、周りを眺めるときも大切なのではないでしょうか。 |
知多市立八幡小学校
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