正門へと続く並木の桜のつぼみがようやく膨らみはじめ、春を感じる季節となりました
　本日、私たちのために準備してくださった、すべての方々に感謝します。
　富貴中学校で過ごした三年間を振り返ると、本当にたくさんの思い出が蘇ってきます。私たちは三年間、日々壁にぶち当たり、自分自身で、そして仲間とともにそれらを超えて成長してきました。
　小さな体でぶかぶかの制服に身を包み、大きな不安を抱えていた入学式。暑さと緊張からか、何人かの仲間が体調不良になったことを思い出します。
　その入学から間もない宿泊研修。新しい友だちとの集団行動の練習。体力のない私たちは毎日へとへとでした。初めはバラバラだった行進も、本番ではピシッとそろえることができ、絆が深まるよい機会となりました。また、富貴中から美浜少年自然の家までの道のりを全員が歩き切ったこと。先生に「今までにそれを成し遂げた学年はなかった。すごい。」と褒められ、なんだかとてもうれしかったことを思い出します。
みんなが実行委員として準備した林間学習。気まぐれな天気に振り回された、高遠での三日間。臨機応変に対応できた行動は、今までの自分たちを超えたと実感できました。奇跡的に雨が上がったキャンプファイヤーでは、クラススタンツを披露し合ったり、フォークダンスをしたりして、炎の迫力にも負けないほど盛り上がりました。そして何といっても、火の舞のパフォーマンスは圧巻でした。
　
　１年前の突然の緊急事態宣言。休校。私たちの生活はそれによって一変してしまいました。毎日学校に行くこと、友だちと他愛もない話をすること。部活動で厳しい練習をすること…今まであたりまえだったことがすべて特別だったことに気づきました。本当だったら春休みに全国大会に出場するはずだったのに・・・今でも思い出すと悔しい気持ちになります。
　３ヶ月あまりの長い長い休業期間。いつもならラッキーと思った休みも、３年生になった私はさすがに焦りました。
　５月末にやっと学校に行くことができ、以前とは違う、新しい生活に戸惑いはあったものの、毎日学校に行けること、みんなと再会できたことがとてもうれしかった。

　２年生の冬から自分たちで企業に電話をして、準備を進めていた修学旅行。アポ取りが成功して喜んでいる人たちがたくさんいました・・・　一度は断ち切れてしまった修学旅行でしたが、多くの人たちの理解と協力により、今までの先輩たちよりも豪華な旅を満喫できました。おいしいものをたくさん食べて、普段できないことをたくさんやらせてもらえて、本当に楽しかった。部屋のみんなとした恋バナもよい思い出です。
　最後の学校祭は企画する側になりましたが、ここでもコロナの影響を多く受けました。
　文化祭。生徒会の仲間や先生と話し合いを重ね、何度も練り直し、そして直前の変更。不安だらけのスタートでしたが、予想以上に会場が盛り上がり、私たちの努力が報われた瞬間でした。
　体育祭。練習時間が限られる中での演舞練習。初めはクラス内でぶつかり合い、思うようにいかないこともたくさんありました。直前に大きく変更したこともあり、緊張と不安でいっぱいでした・・・。
　スタートのピストルが鳴った瞬間、みんなの顔つきが変わり、今までの練習をはるかに超えたパフォーマンスになりました。あの時のみんなは最高にかっこよかったです。竜驤麟振、獅子轟炎、蒼熾響狼…富貴中史上最強の演舞になったと自負しています。
　合唱祭。私たちの学年は特にこの行事で成長できたと思っているので、最後の最後に合唱祭が開催できなかった事が残念でなりません。いつも学年の先生が、「あなたたちは歌がうまい。」とほめてくださった合唱。ここにいるみんなとできる最後の合唱。大音量で歌うことはできませんが、このあと精一杯、心を込めて歌います。
　部活動。先輩たちの姿を見て、最後の大会を目標にがんばってきましたが、私たちの大会は消えてしまいました。未だに悔しさは残りますが、絶対に高校でその悔しさを跳ね返します。
　後輩へ。部活動ができることに感謝し、一日を大切にしてください。そして、私たちが果たせなかったことに思う存分挑戦してほしいです。先輩らしいことができたかどうか分かりませんが、これまで支えてくれてありがとう。そして、これからの富貴中学校を頼みます。
　先生へ。たくさん叱られたけど、たくさんいっしょに笑いましたね。叱られたことに反発心をもったこともありました。悩んで落ち込んで・・・でもその度に励まされ、背中を押されて前へ進むことができました。それらは必要なことだと今だからわかります。３年間ありがとうございました。明日から少し不安ですが、これからは、自分の力で今までの自分を超えていきます。
　家族へ。普段恥ずかしくて言えないけれど、今までありがとう。悩んでいるとき、不安でいっぱいなとき、いつもそばで見守ってくれた。ついつい甘えて反抗してしまうことも多いけど、いちばん感謝しています。中学校は卒業ですが、自分の目標に向かってがんばります。そして、もうしばらくよろしくお願いします。　
　最後に３年間いっしょに過ごしてきた「君へ」今までのあたりまえが、明日からはあたりまえでなくなってしまう・・・喜びも悲しみもたくさん詰まった日々。毎日いっしょに通った道。他愛もないことで盛り上がって楽しかった。けんかしたときはさすがに落ち込んだけど、涙のあとにはいつもそばにいてくれた。もっと一緒にいたい、もっと話していたいけど、旅立ちの時が近づいてきました。君に会えて本当に幸せだった。

　もうしばらく大変な時期が続くと思うけれど、この３年間、富貴中学校でがんばった私たちならきっと大丈夫。それぞれの「正解」に向かって、まず一歩を踏み出し、限界を何度も超えて、「自分らしく」、１０４通りの「道」を切り拓いていきます。
富貴中学校で私たちを支えてくれた全てのみなさん、今まで本当にありがとうございました。　
　最後になりますが、富貴中学校のさらなる発展をお祈りし、別れの言葉といたします。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　令和３年３月３日　卒業生代表