最新更新日:2022/09/13
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「雪ぐにの生活を楽しくするために」(昭和47年度卒業文集より)

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 学校に保管されている卒業記念アルバムには、小浜中学校のいろいろな歴史や逸話が残されています。
 当時卒業記念アルバムの中の卒業文集である生徒が書いた文が目に止まりました。文を読んで涙が出ました。
 以下に原文の一部を抜粋して紹介します。
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   雪ぐにの生活を楽しくするために

 ヒュー、身を切るような冬の季節風とともに、東日本一帯に雪が舞い降りる。きびしい冬の訪れを告げるように、これからが雪と「雪ぐに」の人々の戦いがはじまるのだ。
 しかし、「雪ぐに」の山村に残る者は少ない。父も母も兄もみんな出かせぎに出かけていってしまうからだ。家に残ったのは、祖父母と私たち姉妹ばかり、こうしたところにも「雪ぐに」のきびしさが感じられる。一歩外に出れば、木枯らしがほほをさすかと思われるほどのひどい寒さ。だから父や母が出かせぎに出かけていってしまったあとは、とにかく、けがをしないよう、かぜをひかないよう、交通には気をつけるようと、やかましく言う。祖父母が総大将で、私たちは、何でも祖父母の命令に従うことになっている。
 秋にとり入れた米や芋や野菜類は木小屋に整理されてしまってある。だから、私の家では三度三度米ばかりはたべられない。一日に一度は必ず「すいとん」とか「うどん」である。
 そして、祖父も祖母も、この冬ごもりの中でも決して休んでばかりではない。祖父は、春になってから、野らで働くときのために備えて、せっせと「わら細工」に余念がない。また祖母も、ひまをみては、野ら着の「つくろい」に精を出している毎日である。祖母はもう72。目も老眼になってしまって、よく見えない。それで針の穴の糸通しは、私の役目である。祖父も祖母も口ぐせのように、
「父ちゃんも母ちゃんも兄ちゃんも、この寒いのに東京であぶない仕事をしているんだ。おれたちがあそんでいたのでは、ばちがあたる。」
 と言う。したがって、私たちも父母が家に居たときよりは炊事の手伝いもよくするし、勉強もする。この正月帰ってきた父母や兄に、
「なんだ、愛子は、おれたちがいない方が成績があがったんでねえか。」
 と言われたほど成績もあがった。だから、父母や兄が家に居ない方がいいかと言うと、決してそうではない。毎日、学校から帰ったとき、「いま帰ったのか。」と、やさしく声をかけてくれる母の家に居ないことは、何と言っても私にはさびしいことだ。また、楽しいはずの夕食のとき、そこに、父の、そして母や兄の顔が見られないことは、私には堪えられないほどのさびしさである。まして、まがった腰を、のばしのばし働いている祖父や祖母の姿は、私の涙をさそう。
 「雪ぐに」と一言で言えば、なにか文学作品を思わせるような詩的な感情をさそうが、現実の私たちの生活は決してそんな甘い感じのものではない。一年中、父や母や兄が「出かせぎ」などに出なくても、なんとか生活してゆける経済的なゆとりを私たち農民に与えてほしいのである。その生活は最低であってもいい。とにかく家族の者が、はなればなれにならないで、ひとつ屋根の下で仲よく生活してゆけるようにしたいというのが、私の一番のねがいなのである。
 「雪ぐにの生活を楽しく」と言うことは、この私のねがいがかなえられないかぎり、私には味わうことのできない遠いことである。
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